英数で始まる用語

食品のDNA分析(遺伝子検査)に関する用語解説です。
ご不明な用語の確認にご活用ください。

A-B

A1/A2ヘテロ

牛のβ-カゼイン遺伝子において、A1型とA2型の両方の対立遺伝子を持つ状態です。このような牛のミルクには両タイプのβ-カゼインが含まれています。

A1ホモ

牛のβ-カゼイン遺伝子において、A1型の対立遺伝子のみを2つ持つ状態です。このような牛のミルクには、A1型β-カゼインのみが含まれています。

A1型β-カゼイン

牛乳に含まれるβ-カゼインの変異型で、67番目のアミノ酸がヒスチジンです。消化時にBCM-7というオピオイド様ペプチドを放出することが特徴です。

A2ホモ

牛のβ-カゼイン遺伝子において、A2型の対立遺伝子のみを2つ持つ状態です。このような牛のミルクには、A2型β-カゼインのみが含まれています。

A2ミルク

A2型β-カゼインのみを含む牛乳です。通常の牛乳に比べて消化吸収が良く、特定の健康問題を引き起こさない可能性があるとされ、特殊な乳製品市場で注目されています。

A2型β-カゼイン

牛乳に含まれるβ-カゼインの変異型で、67番目のアミノ酸がプロリンです。A1型と異なり消化時にBCM-7を生成せず、より健康に良いとされています。

BCM-7

β-カソモルフィン-7の略で、A1型β-カゼインの消化によって生じるペプチドです。オピオイド様の活性を持ち、様々な健康問題との関連が研究されています。

BLAST検索

塩基配列やアミノ酸配列の類似性を検索するツールです。配列をデータベースと比較し、類似した配列を高速に見つけ出すことができます。

C-D

CHD-W遺伝子

鳥類のW染色体上に存在するクロマチンヘリカーゼDNA結合タンパク質をコードする遺伝子です。鳥類の性判別に使用されるマーカーの一つです。

COI遺伝子

ミトコンドリアのシトクロームcオキシダーゼサブユニットI遺伝子で、動物のDNAバーコーディングに広く使用されます。種の同定に有効なマーカーです。

copies/反応

PCRなどの反応系における、特定のDNA配列のコピー数を表す単位です。定量PCRなどで、サンプル中の標的DNAの量を評価するために用いられます。

CRISPR-Cas9

バクテリアの防御機構に由来する革新的なゲノム編集技術です。特定のDNA配列を正確に切断し、遺伝子の挿入、削除、修正を可能にします。

CSN2遺伝子

β-カゼインタンパク質をコードする遺伝子で、乳牛において主にA1型とA2型の変異が知られています。乳製品の特性に影響を与える重要な遺伝子です。

Cytb遺伝子

ミトコンドリアのシトクロームb遺伝子で、エネルギー代謝に関わるタンパク質をコードします。種の同定や系統解析に使用される遺伝マーカーです。

DDX3遺伝子

DEAD-boxヘリカーゼファミリーに属する遺伝子で、RNA代謝に関与します。性染色体上に存在し、一部の生物では性判別マーカーとしても利用されます。

DEAD-boxヘリカーゼ遺伝子

RNA二重鎖を解く酵素をコードする遺伝子群です。RNA代謝やリボソーム生合成など、細胞の基本的な機能に関わっています。

DNA

デオキシリボ核酸の略で、生物の遺伝情報を担う分子です。A、G、C、Tの4種類の塩基からなる二重らせん構造を持ち、生命の設計図として機能します。

DNAシーケンシング

DNAの塩基配列を決定する技術の総称です。サンガー法や次世代シーケンシングなど様々な方法があります。

DNAバーコーディング

標準化された短いDNA領域を用いて生物種を同定する手法です。分類が難しい生物や断片化した標本の種同定にも有効です。

DNAバーコード

種の同定に使用される標準化されたDNA配列のことです。種に特異的な「バーコード」として機能し、生物多様性調査などに活用されています。

DNAバーコード領域

種の同定に適した特定のDNA配列領域です。動物ではCOI遺伝子、植物ではrbcLやmatK遺伝子などが一般的に使用されています。

DNAバンド

電気泳動によって分離されたDNA断片が形成する帯状のパターンです。そのサイズや位置から遺伝子型や種の識別を行うことができます。

DNAフラグメント解析

DNA断片の長さやパターンを分析する手法です。蛍光標識したDNA断片のサイズを高精度で測定し、多型解析などに利用されます。

DNAマーカー

個体識別や品種判別に使われるDNA上の目印となる特定の配列です。多型性を示し、様々な生物学的解析に活用されています。

DNAメチル化

DNAの塩基(主にシトシン)にメチル基が付加される修飾です。遺伝子発現を制御するエピジェネティックな機構の一つです。

DNA塩基配列

DNAを構成する塩基(A、G、C、T)の並び順のことです。生物の遺伝情報そのものであり、様々な生命現象を規定しています。

DNA検出検査

特定のDNA配列の有無を調べる検査方法です。リアルタイムPCR法などの技術を用いて微量のDNAも高感度に検出できます。

DNA合成

ヌクレオチドが連結してDNA鎖が作られる過程です。生体内では複製、修復時に、試験管内ではPCRや人工合成時に起こります。

DNA鎖長

DNAの長さを表す指標で、塩基対(bp)の数で示されます。短いものでは数百bp、長いものでは数百万bpに及ぶことがあります。

DNA多型

個体間や集団間でみられるDNA配列の変異のことです。一塩基多型や繰り返し配列の長さの違いなど様々な種類があります。

DNA断片

切断や分解によって生じたDNAの一部分です。実験では制限酵素処理やPCR増幅などによって得られ、分析対象となります。

DNA抽出

生物試料からDNAを分離・精製する工程です。細胞を破砕し、タンパク質や脂質などの不純物を除去して純粋なDNAを得る処理を行います。

DNA分析

DNAの構造や配列を調べる様々な手法の総称です。PCR、シーケンシング、DNAフィンガープリントなど多くの技術が含まれます。

E-F

ELISA法

抗原抗体反応を利用したタンパク質検出法です。酵素標識された抗体を用いて発色反応を起こし、高感度に目的物質を検出します。

G-H

GMO

遺伝子組換え生物(Genetically Modified Organism)の略です。他の生物から取り出した遺伝子を人工的に導入された生物で、様々な分野で利用されています。

I-J

ISO

国際標準化機構(International Organization for Standardization)の略で、国際的な標準規格を策定する組織です。検査法や品質管理システムなどの標準化を行っています。

ITS2遺伝子

真核生物のリボソームRNA遺伝子間の転写されるスペーサー領域の一つです。特に菌類や植物の種同定に有用なDNAバーコード領域として利用されています。

K-L

LSU D2/D3遺伝子

リボソーム大サブユニット遺伝子のD2/D3領域で、主に菌類や線虫などの同定や系統解析に使用される保存領域です。

M-N

matK遺伝子

葉緑体ゲノムに存在するメイトラーゼK酵素をコードする遺伝子です。植物のDNAバーコーディングに使用される主要なマーカー遺伝子の一つです。

miRNA

マイクロRNAの略で、約22塩基の短い一本鎖RNAです。遺伝子発現を調節する役割を持ち、様々な生物プロセスや疾患に関与しています。

NGS

次世代シーケンシング(Next Generation Sequencing)の略で、大量のDNA配列を並列して高速に解読する技術です。ゲノム解析に革命をもたらしました。

O-P

PCR

ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)の略で、特定のDNA断片を試験管内で増幅する技術です。少量のDNAから大量のコピーを作り出すことができます。

PCR-AFLP法

増幅断片長多型分析法で、制限酵素消化とPCR増幅を組み合わせたDNA解析手法です。高い多型検出能力を持ち、遺伝的変異の解析に利用されます。

PCR-HRM法

PCR産物のDNA二重鎖の融解特性の微小な違いを検出する手法です。SNP解析や変異スクリーニングに利用されます。

PCR-RFLP法

PCR産物を制限酵素で切断し、断片パターンの違いから多型を検出する手法です。種の識別や遺伝子型判定に広く利用されています。

PCR-SSR法

単純反復配列(マイクロサテライト)の長さの違いをPCRで検出する手法です。高い多型性を持ち、品種識別や親子鑑定などに利用されています。

PCR検査

PCR技術を利用して特定のDNA配列の有無や量を調べる検査です。病原体検出、遺伝子変異解析など幅広い分野で使用されています。

PCR産物

PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によって増幅されたDNA断片のことです。電気泳動やシーケンシングなどで分析されます。

PCR阻害

PCR反応が正常に進行するのを妨げる現象です。試料中の不純物や特定の化学物質が原因となり、偽陰性の結果を招くことがあります。

PCR増幅

DNAポリメラーゼを用いて特定のDNA領域を何百万倍にも増やすプロセスです。温度サイクルを繰り返すことで指数関数的にDNAコピーが増加します。

PCR-電気泳動法

PCRで増幅したDNA断片を電気泳動により分離・可視化する方法です。断片の長さによる移動度の違いを利用して分析を行います。

PCR不良

PCR反応が正常に進行せず、目的のDNA断片が十分に増幅されない状態です。テンプレート品質不良や阻害物質の存在などが原因となります。

PCR法

DNAポリメラーゼと温度サイクルを用いて特定のDNA領域を増幅する分子生物学の基本技術です。様々な研究や診断に広く利用されています。

Q-R

RAPD

ランダム増幅多型DNAの略で、短いランダムプライマーを用いたPCR法です。事前の配列情報なしに多型解析ができる利点があります。

rbcL遺伝子

葉緑体ゲノムに存在するRuBisCO酵素の大サブユニットをコードする遺伝子です。植物のDNAバーコーディングや系統解析に広く使用されています。

RNA

リボ核酸の略で、DNAから転写された遺伝情報を伝達する分子です。タンパク質合成、遺伝子発現調節など様々な役割を担っています。

RNAi

RNA干渉の略で、二本鎖RNAによって相補的なmRNAの発現を抑制するメカニズムです。遺伝子機能解析や治療法開発に応用されています。

RNA代謝

細胞内でのRNA分子の合成、修飾、分解などの過程全体を指します。遺伝子発現の調節に重要な役割を果たしています。

S-T

siRNA

遺伝子の発現を抑制する短い二本鎖RNAです。RNA干渉という現象を利用して特定の遺伝子機能を一時的に阻害するため、研究や医療分野で活用されています。

SNP

一塩基多型と呼ばれる、DNA配列上の1塩基が個体間で異なる遺伝的変異です。個人識別や疾患リスク評価、品種改良などに利用される重要な遺伝マーカーです。

SSR

単純反復配列のことで、2~6塩基程度の短い配列が繰り返される領域です。多型性が高く、個体識別や親子鑑定、品種判別などに利用される有用なDNAマーカーです。

SSU V7/V8遺伝子

リボソームRNAの小サブユニット遺伝子の可変領域V7とV8を指します。種によって配列が異なるため、微生物の分類や同定に広く利用されています。

TaqManプローブ

リアルタイムPCRで使用される蛍光標識プローブです。標的DNA配列に特異的に結合し、PCR増幅時に蛍光を発するため、高感度で定量的な検出が可能です。

trnH/psbA遺伝子

植物の葉緑体DNAにある遺伝子間領域です。種間での配列変異が大きいため、植物のDNAバーコーディングや種の同定に広く利用されています。

tufA遺伝子

タンパク質合成に関わる翻訳伸長因子をコードする遺伝子です。細菌や藻類の同定や系統解析に利用され、特に緑藻類の分類に有用なマーカーとされています。

U-V

W-X

W染色体

鳥類や一部の魚類、爬虫類などで見られる性染色体で、ZW型性決定システムの雌に特有です。雌がZWで雄がZZという組み合わせになります。

XX型

哺乳類などでよく見られる性染色体構成で、雌がXX染色体を持つパターンです。XY型の性決定システムでは、XXが雌を示します。

XY型

哺乳類などで一般的な性決定システムで、雄がXY染色体、雌がXX染色体を持ちます。Y染色体上の遺伝子が雄の形質発現に重要な役割を果たします。

X染色体

性染色体の一種で、哺乳類などでは雌雄ともに持っています。X連鎖遺伝として知られる伴性遺伝の基盤となり、様々な遺伝子が載っています。

Y-Z

Y染色体

哺乳類などで雄にのみ存在する性染色体です。SRY遺伝子など雄の形質に関わる遺伝子を持ち、父系遺伝の指標としても利用されています。

ZW型

鳥類や一部の魚類、爬虫類などで見られる性決定システムです。雌がZW染色体、雄がZZ染色体を持ち、哺乳類のXY型とは逆のパターンです。

ZZ型

ZW型性決定システムにおける雄の性染色体構成です。鳥類や一部の爬虫類などでは、雄がZZ染色体を持ち、雌がZW染色体を持ちます。

Z染色体

ZW型性決定システムにおける性染色体の一種で、雌雄両方が持っています。哺乳類のX染色体に相当し、様々な遺伝子が載っています。

数字

16S V1/V5遺伝子

細菌の16SリボソームRNA遺伝子のV1からV5までの可変領域です。系統分類や細菌の同定に広く利用され、細菌叢の多様性解析に重要なマーカー領域となっています。

16S V5/V9遺伝子

細菌の16SリボソームRNA遺伝子のV5からV9までの可変領域です。細菌種の識別に用いられ、特定の微生物群集の研究において有効なマーカー領域です。

16SrRNA遺伝子

原核生物のリボソームを構成するRNAをコードする遺伝子です。進化的に保存されながらも変異部位を含み、細菌やアーキアの分類や系統解析の標準マーカーとして使用されています。

16S全長配列

16SリボソームRNA遺伝子の全塩基配列(約1500塩基対)を指します。部分配列よりも詳細な情報を提供し、微生物の系統分類において高い解像度を持つ解析が可能です。

その他

β-カゼイン

牛乳などに含まれる主要なタンパク質です。A1型とA2型などの遺伝的変異があり、それぞれが消化時に異なるペプチドを生成することから健康面で注目されています。

β-カソモルフィン-7

β-カゼインが消化される際に生じるペプチドで、オピオイド様の活性を持ちます。特にA1型β-カゼインから生成されやすく、健康への影響が研究されています。

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