ウシβ-カゼイン遺伝子A1/A2型判別検査
Bovine β-casein Gene A1/A2 Typing Inspection
基本情報
乳牛が保有するβ-カゼイン遺伝子型がA1ホモ、A1A2ヘテロ、A2ホモのいずれかを判別します。
検査コード | NS10J |
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標準価格(税抜) | 30,000円 |
所要日数 | お問い合わせ |
検出検体 | 耳片、毛根30本、血液10cc、生乳500mLもしくはご相談 |
詳細
試験法 | 当社独自の高感度試験法による |
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測定法 | TaqManプローブによる特異的リアルタイムPCR検出法 |
検出対象 | ウシβ-casein遺伝子(CSN2)A1/A2識別領域 |
A2ミルクとは
カゼインは牛乳に含まれるタンパク質の80%を占め、そのうち35%がβ-カゼインで構成されています。β-カゼインには15種類の変異型が知られており、ウシでは主にA1型とA2型の2つが存在します。ヒトを含むウシ以外の哺乳類は一般的にA2型のみを産生するため、ウシの祖先もA2型の遺伝子を持ち、突然変異によって生じたA1型が家畜化の過程で広がったと考えられています。
現在、国内で飼育されている乳牛の70%はA1遺伝子をホモ(A1A1)またはヘテロ(A1A2)で保有しており、残りの30%がA1遺伝子を持たないA2ホモ(A2A2)とされています。市販されている牛乳はA1とA2を区別せずに混合しているため、ほとんどの製品にA1型β-カゼインが含まれています。
A1とA2の違いは、β-カゼインの67番目のアミノ酸がA2はプロリンであるのに対し、A1ではヒスチジンに置換されている点です。このためA1型の牛乳を飲むと、消化酵素がヒスチジン部位に作用し、特有のペプチドであるβ-カソモルフィン-7(BCM-7)が生成されます。BCM-7は腸管の炎症を引き起こす可能性があるほか、モルヒネに似た作用を持つオピオイド様物質であることから、神経系や免疫系に影響を及ぼす可能性が示唆されています。
このことから、A1型β-カゼインは牛乳を飲んだ際の腹部不快症状の一因と考えられています。そこでA1遺伝子を持たず、生まれつきA2型β-カゼインのみを産生するA2ホモ(A2A2)の乳牛から搾った牛乳が、お腹に優しいA2ミルクとして商品化され、欧米を中心に市場を拡大しています。
一方で、腹部不快症状がβ-カゼインとは異なる要因(乳糖不耐症や牛乳アレルギーなど)で生じている場合、A2ミルクの効果はあまり期待されません。またBCM-7が自閉症や糖尿病、統合失調症など多数の疾病リスクを高めるとの主張もありますが、現在のところ、それらの科学的な裏付けは不十分です。
日本食品遺伝科学のA2ミルク関連検査について
当社では、遺伝子分析を用いて、ウシを対象とした「ウシβ-カゼイン遺伝子A1/A2型判別検査」と、ミルクを対象とした「A2ミルク純度検査」の2種類の検査を実施しています。
「ウシβ-カゼイン遺伝子A1/A2型判別検査」では、ウシから直接採取した試料(毛根、耳片、血液、生乳など)を用いてゲノム解析を行い、β-カゼイン遺伝子(CSN2)の遺伝子型をA1ホモ(A1A1)、A1/A2ヘテロ(A1A2)、A2ホモ(A2A2)のいずれかに分類します。
「A2ミルク純度検査」では、A2ミルクとして製造された牛乳からDNAを抽出し、A1遺伝子の有無を確認します。A1遺伝子が含まれている場合は、その推定混入量も算出します。
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